どん詰まりの人々に見たまばゆいほどの光

一年前の、10/29(土)舞台『閃光ばなし』を観劇してきました。

当時下書きに残したまま、眠っていたのでせっかくならこのタイミングで公開したいと思います。

昭和三部作の三作品目。『俺節』、『忘れてもらえないの歌』と観劇することができていましたので、今回当たったらいいなぁと願っていましたが、こればかりは運もあるし、不正な手段を使って観劇することはしたくなかったので、応募して静かに祈っていました。今回、貴重な経験ができたこと、大事に大事にしていきたいと思います。

 

福原さんの舞台は泥臭くて、胸が熱くなる。そして、その時代を生きた人達の言葉選びが好きです。

今回は新中川によって分断された、こっち側と向こう側を描いた作品。川が作られ、そこに橋がないことで不自由を強いられている「どん詰まりの人たち」と、橋をわざとかけず、バスを使わせることでお金儲けを企む「権力者たち」…

 

まず、この舞台は、セットがとても広く感じました。

登場人物は上へ横へ時には下へも自由に動き回る。舞台上が本当に街のようで、驚きました。そしてそのセットのひとつひとつに歴史を感じたのです。

加古さん役の、小林けんいちさんがパンフレットで

ボートを浮かばせるのに、布を川に見立てて動かす稽古をしてて。そういうところも時代に逆行してて面白いなと思ってます。だって今、プロジェクトマッピングだなんだって、いくらでも映像技術を使えるじゃないですか。なのに人力で両サイドから布を引っ張る(笑)。「あぁ、人がやってこその演劇なんだ」って思わされました。

とおっしゃっていて、なるほどなぁと。人がその場で作り上げる、それが舞台を「生もの」という理由なのかなと勝手に解釈しています。

そしてこの舞台に限ったことではないですが、照明がとても素敵な働きをしています。上手に集めたいところに視線を誘導して、わたしたちは自然と光に導かれるようにそちらに目を向けるのです。

 

佐竹兄妹は確かに話の中心ではありましたが、全員が主人公に思えました。それぞれの演者さんが、熱量を込めて舞台で生きていたからこそ、誰も脇役だと思えなかった。

 

『閃光ばなし』で一番好きなセリフ。是政くんのお父さんが言った

「誰よりも全速力で向かって、誰よりも遅く到着しろ」

どんな人生を歩んできたら、こんなセリフが思いつくんでしょう。でも、このくらいの心の在り方がいいですね。このくらいのマインドの方が、世の中を歩いていけそうな気がします。

 

是政くんの元婚約者、由乃さんはとても素直な人でした。人を憎く思えるまで誰かを好きになる、というのは怖くもあるけれど、羨ましいとも思ってしまった。そこまでの恋、できる人間なんて一握りなんじゃないでしょうか。だからこそ、狂気的に思える行動も、わたしには素直に生きているんだと感じました。

 

↑ここまでが、当時書き残していたメモ。読みながら、あぁそうだったなぁと色々思い返せて楽しい時間を過ごせました。

まさか1年後にこんな風になるとは本当に全く予想できなかったけれど、関ジャニ∞の安田くんがまた、舞台に立ってくれることを願って。今回はこの辺で終わりたいと思います。