10/8(土)パラダイス観劇しました

皆様、お久しぶりです。

と書き出しましたが、思ったより前回から日が経っていなかったですね。

10月になって、一気に夏が終わり風が秋らしくなりました。半袖がタンスにしまわれ、ニットを着ようか迷うそんな神無月の8日、丸山さんの舞台『パラダイス』を観劇してきました。

 

丸山さんの役は詐欺グループのリーダー。そんな前情報に、友人と「これはわたし達が思い描く、まるちゃんにピッタリの役なのでは!?」と興奮しながら(オタクって気持ち悪いですね)そわそわと席に着きました。

結論、役は確かにぴったりだったけど内容はヘビーだった。

 

丸山さんの演じた梶くんは、最後までよくわからない人でした。目上には自分を押し殺してヘラヘラして目下には強気に出る。人間らしいといえば聞こえはいいけれど、正直、関わりたくないタイプ。感情を剥き出しにして怒鳴る姿は迫力がありました。

だけど本当はすごく弱い人。体を膨らませて大きく見せているだけで、針で突いたらすぐに破裂してしまう、そんな危うさを持っている気がしました。

 

こういう人って、世の中にたくさんいるなと思います。

人より、少しだけ情報を多く受け取ってしまったり、少しだけ思い込みが強い、ただそれだけなのに、人に向ければたちまち凶器になる可能性を秘めています。それに今は、針の数が多いから、自分で気をつけて避けなければいけない。避けたつもりでも流れ弾に当たるなんてことしばしば。的確に今を生きる人間を描いていて、そんなことを考えました。

 

八嶋さん演じた辺見さんは、怖い人でした。八嶋さんは、パンフレットで辺見さんのことを

僕が演じる辺見は、基本的に諦めている男という印象です。

と評していて、その通りだなと思いつつ、その諦めに執着が混ざっているのが恐ろしかったです。

辺見さんが梶くんに「お前だってこうなることを覚悟して俺に着いてきたんだろ?」(意訳)と言い放ったシーンは、なんとも言い難い気持ちになりました。確かに梶くんは甘かったんだろうな、と思いつつ。でも、夢や生きる目標が変わるなんてある事じゃないですか。辺見さんはそれを受け入れられないんだろうなぁ。

 

辺見さんや梶くんがどんな理由でこの世界に足を踏み入れたのかはわからないけれど、二人の地位?って言っていいのかな、に辿り着くには、まあ生半可な気持ちではなかったはずで。梶くんがそれを手放して奮闘する理由が、おそらくなんらかの確執があったと推察される家族のためという、一連の人生を想像すると居た堪れません。それとも、手放したかったけれどずるずると引きずっていたのか、どうなんでしょうか。

 

家族の確執については、久しぶりに実家に帰ってきたであろう梶くんに対しての、お姉さんやお母さんのまるでいないように扱う態度や、話しかけたら「ああ、いたの?」といった様子から想像するしかありませんでした。家族も梶くんをぞんざいに扱っていたわけ…でもなさそうとわたしは思っていて。ただちょっとしたすれ違いで互いに素直になれなかった結果なのかなぁ。

 

わたしは毎熊さんの演技が個人的にはとても好きでした。真鍋さんは、梶くんと辺見さんの間で板挟み状態。終盤まで、彼が一体どういう行動にでるのかわからない怖さがありました。彼の最期を思うと胸がしめつけられます。

 

真鍋さんはパンフレットのインタビューで

梶との過去はほとんど描かれていないのですが、二人が夢みた曖昧な理想郷があったはず。

とおっしゃっていたので、その辺りをわたしたち、観劇した人間が想像して隙間を埋める楽しさがありました。

 

どの時代だってみんな必死に生きているわけだけど、とりわけ現代を歩くわたしたちが受け取りたいメッセージが詰まっていた。

 

遅筆でやっと感想がまとまったところで、今回は終わりにしようと思います。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。またどこかでお会いしましょう。